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米国の『債務上限問題』って何?【キーワード】

2017年9月21日

<今日のキーワード>
米国では、議会が政府債務の上限を決めています。その上限を超えることはできず、債務が上限に達した場合は、その都度、議会の承認を得なければなりません。議会の承認を得られず、債務の上限を引き上げられない場合、デフォルト(債務不履行)に陥ります。近年、米国では、債務の上限を巡って、米国の国債がデフォルトに陥るリスクが生じる事態が、数年おきに繰り返されています。

【ポイント1】債務上限の運用を一時的に停止するための法律が成立

ハリケーン災害の救済法案と一体化

■米連邦政府の債務残高の上限は現在19兆8,088億ドル、これに対して実際の債務残高は2017年8月末時点で19兆8,087億ドルと、ほぼ上限に達しています。上限を超えても会計上の調整や政府資産の売却等の財政措置をとることで、しばらく資金繰りを続けることは可能ですが、早晩、限界に達します。

■こうしたなか、トランプ大統領と議会指導部は、9月6日にハリケーン災害の救済法案に、「債務上限の一時的な適用停止」と「12月8日までの暫定つなぎ予算」を加えることで合意しました。この一体法案は7日に上院、8日に下院で可決され、大統領の署名を経て成立しました。

【ポイント2】12月上旬まで現行水準の連邦支出が可能

国債がデフォルトに陥る事態は回避

■近年、米国では債務上限の引き上げを巡って、国債がデフォルトに陥るリスクが、数年おきに発生しています。最近ではオバマ政権下の2013年に、医療制度改革(オバマケア)を巡る与野党の対立から、債務上限の引き上げが期限ぎりぎりまで行われなかったことがありました。

■今回は、「債務上限の一時的停止」と、「暫定つなぎ予算」に関する法律の成立に伴い、「継続予算決議」と呼ばれる措置によって、現行水準の連邦歳出を12月8日まで継続することが可能となりました。これで、国債がデフォルトするという最悪の事態はひとまず回避されました。なお、ハリケーンの被災者救済・復興資金としては、約153億ドルが計上されています。

【今後の展開】債務上限停止措置の期限である12月8日に注目

■「債務上限の一時的な適用停止」等に関する法律が成立し、連邦政府のデフォルト危機が回避された9月8日以降、米国市場では株価が上昇、債券価格は下落(利回りは上昇)基調にあります。

■トランプ大統領は、次に政権最大の公約である減税と税制改革の実現を目指すことになりますが、メキシコとの「国境の壁」建設や不法移民等の問題もあり、成立までには時間がかかる公算があります。

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