ホームマーケット経済指標解説2017年12月分景気動向指数(速報値)

2017年12月分景気動向指数(速報値)

2018年2月7日

-一致CI前月差+2.8で3カ月連続上昇、前月差は史上第3位タイ-
-一致CI指数水準120.7は、90年10月の120.6を上回る史上最高-
-基調判断15カ月連続「改善を示している」継続、景気拡張局面は61カ月に-

●12月分の景気動向指数・速報値では、先行CIは前月差▲0.3と2カ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数、新規求人数、日経商品指数、東証株価指数の4系列が前月差プラス寄与に、鉱工業生産財在庫率指数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差マイナス寄与になった。

●一致CIは前月差+2.8と3カ月連続の上昇になった。速報値からデータが利用可能な7系列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列全てが前月差プラス寄与になった。 

●一致CIは前月差+2.8と大幅高だが、これは85年からある統計史上、89年3月の同+4.2、02年5月の+2.9に次ぎ、14年1月に並ぶ、史上3番目タイの上昇幅である。 

●12月分の一致CIの指数水準は120.7になった。これは90年10月分の120.6を上回る統計史上最高水準だ。 

●一致CIの3カ月後方移動平均は+1.50ポイント上昇し、3カ月連続の上昇になった。7カ月後方移動平均は0.71ポイント上昇し、17カ月連続の上昇になった。 

●一致CIを使った景気の基調判断をみると、15年5月分~16年9月分の1年5カ月間もの間、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏みを示している」という同じ基調判断が続いていたが、16年10月分で「改善を示している」に上方修正された。その後16年11月分~17年11月分まで同じ基調判断だった。今回12月分も「改善を示している」で、15カ月連続して最高の判断が続いている。 

●基調判断が、景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるには「当月の前月差の符号がマイナス。かつ3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が振幅目安の1標準偏差分(▲1.04)以上」であることが必要だ。

●また基調判断が、事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に下方修正されるには、「当月の前月差の符号がマイナス。かつ7カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(▲0.87)以上」であることが必要だ。 

●1月分で、「足踏み」になるには、3カ月後方移動平均の前月差が▲1.04以上になる必要がある。そのためには▲7.5ポイント以上の前月差大幅な下落幅になることが必要だ。また、「下方への局面変化」になるには、▲10.0ポイント以上の前月差大幅な下落幅になることが必要だ。1月分の製造工業生産予測指数の前月比が▲4.3%であることから、第1系列の生産指数(鉱工業)前月比が▲7.5ポイント以上の大幅な減少になるとは考えにくく、にわかに基調判断が下方修正される可能性はないとみられる。1月分も「改善」の判断が続くとみられる。 

●12年12月から始まった「アベノミクス景気」は17年12月分で61カ月となり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月に次ぐ、戦後2番目の長さの景気拡張局面を続けている。 

●今回12月分速報値では、先行DIは55.6%と景気判断の分岐点の50%を6カ月連続で上回った。また、一致DIは100.0%で、こちらは景気判断の分岐点の50%を5カ月連続で上回り、DIからも景気拡張局面を示唆する状況になっている。

●12月分景気動向指数・改定値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は2月15日である。また在庫率関連データなどが2月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。 

●12月分景気動向指数・改定値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。速報値の前月比寄与度は▲0.34程度である。また一致DIの計算では所定外労働時間指数は速報値の段階だとマイナス符号で加わることになる。一致CI、一致DIとも現時点では下方修正が予想される。所定外労働時間指数の確報値発表日は2月23日である。また、生産指数関連データなどの2月15日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。但し、「改善」の基調判断は変わらないとみられる。 

●1月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。全系列が前月差寄与度ゼロになることが判明している。 

●また、1月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列の中で、全系列がプラス符号になることが判明している。1月分速報値段階の先行DIは44.4%以上100.0%以下が確定している。